はねぎ搾り「萬勝」

醪を絞るには大きくわけて3種類あると思う。一つは「ヤブタ」。機械でグッと搾る。たくさん搾れて効率はいいけれど、雑味も出てしまう。もう一つは伝統の「槽(ふね)搾り」。そーっと搾る感じで、雑味が出ないようにある程度コントロールできる。そして、袋に醪を入れて吊るし、重力で出てくる酒だけを集める「吊るし」。もはや搾ってはいない。これは高級で、きれいな酒になる。

はねぎ搾りとは、槽搾りの一種といえるだろうか。巨大な木を槽の上に置き、滑車を使い、てこの原理で圧力をかけていくらしい。手間がかかるので今はほとんど行われていないというが、長崎県南島原市の吉田屋では、このやり方を復活させているという。その搾り方で造られたのが、「萬勝 はねぎ搾り純米吟醸酒 撫子酵母使用」である。アルコール分は14度以上15度未満とやや低め。精米歩合60%。開栓すると、ふわーっと花のような香りが漂ってくる。口に含むと、まろやかで優しい甘さ。そしてじわーっと黒砂糖の苦みのような後口と、微妙な酸味。全体はすっきりとしているが、それだけじゃない奥深さがある。この奥深さとデリケートな感じは、はねぎ搾りで丁寧に造られているからだろうか。

撫子酵母とは、なでしこの花から分離した酵母らしい。あの花のような華やかな香りは、撫子酵母の由来だろうか。品のいい甘さは食事にもよく合った。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です