夏のワイン「ステマッリ グリッロ」

夏のワインとしておすすめなのが、シチリアのステマッリ グリッロ。

20年ほど前の夏、イタリアを縦断して旅行した。ベネチア、ボローニャ、ローマ、ナポリと北から下り、最後はシチリアだった。それまでの地方は、赤ワインばかりだったが、シチリアだけは白ワインが主流で、どの店も赤はほとんど置いていなかった。シチリアは島なので、食事は魚介類が中心だ。赤ワインは合わないのである。

そのシチリアで最もポピュラーな白ワインのブドウがグリッロだった。シャルドネやシャブリ、リースリングのような複雑さ、奥深さはない。どちらかというと単調な味だが、今のような暑い夏にはぴったりだ。レモンのような酸味が強くて爽やかなのである。

「ステマッリ グリッロ 2017」は、グリッロの味がよく表現されている。香りは花のような華やかさがあり、飲むとレモンのような酸味の中に、花の蜜のような甘い味を感じる。冷やしている時は酸味が強く感じられ、時間がたって室温に近くなると、より甘さを感じるようになるが、基本的には爽やかな味である。

私にとっては、夏のシチリアの思い出が、このグリッロの独特の味だ。

日本橋三越の「レブレ」で、チーズソースとベーコンの鶏肉巻き、キッシュロレーヌ、蟹クリーム入り白身魚のオーブン焼き、ヤンソンの誘惑を買って帰り、グリッロと一緒に食べた。ヤンソンの誘惑とは、スウェーデンの伝統的家庭料理で、いわばポテトグラタンである。グラタン・ド・フィノアともほぼ同じ。ベジタリアンのヤンソン氏が誘惑に負けて食べたので、この名が付いているらしい。