広島、愛媛旅行①

遅い夏休みをとって、9月24日から広島、愛媛を旅行した。初日は竹原とウサギの島として知られる大久野島へ行った。

竹原といえば、有名な竹鶴酒造や「龍勢」の藤井酒造がある。古い町並みを巡り、「ほり川」でビールとともに、生地に酒粕が入った広島焼き「たけはら焼き」を食べ、藤井酒造の酒蔵交流館を見学する。いろんな酒が並んでいたが、旅行は7泊8日。まだ初日なので、「宝寿純米酒生一本」の300ミリリットル瓶だけを買う。

忠海港から大久野島へ船で渡り、休暇村大久野島へ。雨が降り始め、大久野島にはウサギがあまりいない。休暇村は夕食、朝食ともバイキング形式だが、竹原の藤井酒造と中尾醸造の酒を置いていた。純米飲み比べセットは、藤井酒造の宝寿三人文殊特別純米と、中尾酒造の誠鏡忠海純米。三人文殊は米の旨味が強く、パワフル。後口は辛口で、余韻が短くスパッと切れる。忠海は新千本を使っている。シルキーで上品な甘さで、まろやか。その後、大吟醸酒を2種類飲む。誠鏡まぼろし大吟醸は、米の旨味はあるが大吟醸だけにきれいな酒だった。やや酸味もあり、黒糖や和三盆のような味。宝寿黒ラベル純米大吟醸は、見た目もやや黄色がかっていて、パワフル。酸味もあり、旨味が強い。

夜になると、昼間とは違ってウサギがたくさん出てきた。餌をやりに行ったが、酒に酔っていたので、あまり覚えていない。

天山大吟醸

佐賀県小城市の天山酒造から、天山大吟醸が届いた。天山酒造の大吟醸には、精米歩合35%、山田錦100%使用の「飛天山」があるが、こちらは精米歩合45%で、出羽燦々を使っている。

「飛天山」には米の力強さやふくよかさ、しっかりした酸味を感じたが、この「大吟醸」の方が華やかなように思うのは、酒米の違いだろうか。メロンのような華やかな吟醸香がかすかにして、上品な甘味と酸味は和三盆のようだ。じわーっと黒糖のような苦みの後味もあった。温度が上がってくると、酸味が前に出て、力強い味になっていく。

天山酒造のウェブサイトでは、「飛天山」を「ゴージャスで豊かな香りとシルクのようななめらかさ」、「大吟醸」を「華やかで上品な吟醸香、包み込むような豊かな甘み、そして爽やかなキレ」と表現していた。やはり山田錦の方が香りが豊かということだろう。

「大吟醸」の「キレ」については、甘みが黒糖のような苦みに変わって消えていくことをいうのだろうか。よく分からない。

鹿児島産石鯛刺身、ソーミンチャンプルー、手羽煮(日向屋須賀崎工場)などと一緒に飲み、〆は宮古そばを作った。

「日本酒テイスティング」

日本酒における「キレ」とは何か。香りや味をどのような言葉で表現すればよいのか。その悩みに答えてくれそうな本を読んだ。2014年に世界唎酒師コンクールで優勝した北原康行氏の「日本酒テイスティング」(日経プレミアシリーズ)である。

これは、画期的な本だった。まず、「キレ」とは何かがきちんと説明してあった。私は、「キレ」を、余韻がなく、飲んだらすぐにスーッと味が消えるような感覚でとらえていた。だが、北原氏によれば、それは「余韻が短い」ということで、「甘くてベトベトしたものがいつまでも口の中に残る感じがしない。フィニッシュがすっきりとしている。余韻がスパッと切れる」ことを「キレ」という。そして、余韻が長くてもキレがいいという表現を使う。つまり、酒の味が口の中にジワーッと残ったとしても、それがスパッと切れれば、キレがいいということだったのだ。なるほど、と思った。余韻が長い、短いも、「飲んだあと、香りや味わいが8秒くらい残れば『余韻が長い』」、「5秒以下なら『余韻が短い』」と、大変に明確だ。後は、北原氏が言う「余韻は長いのにキレがいい」酒を飲んでみて、確かめれば「キレ」とは何かが感覚としてつかめるかもしれない。北原氏が「余韻が非常に長いのにキレがいい」として挙げていたのは、出羽桜純米吟醸江戸ラベルだ。

また、田崎真也さんの本を読んで、「こんなふうに香りを例えられても、よく分からないのでは」と思ったが、それは単に努力不足だということも納得した。黒スグリが分からない、などと言っているのではなく、黒スグリの香りを嗅いで覚えなければダメということだ。

その上で、日本酒を「エレガント」と「パワフル」に分ければ違いが分かりやすいと教えてくれる。その方法として、エリア(産地)とタイプ(特定名称酒の8分類)で判断しろというのも分かりやすい。エリアについては、東日本はすっきりとしていて、西日本は味が濃いようなイメージは何となくあったが、はっきりと言われるとなるほどと思う。この本に添ってテイスティングをしていけば、香りや味の正確な表現法が分かるのではないかと期待した。

しかし、ちょっとした疑問もあった。

「白ワインにあって日本酒にないものは酸味です」と書いてあるが、別の場所では、日本酒のテイスティングで「酸味を感じます」や「酸味もある」などの表現が使われている。実際、日本酒を飲んでいて、酸味がないとはとうてい思えない。「酸度」というものが存在するし、乳酸、コハク酸、リンゴ酸、そしてクエン酸も含まれている。それでもワインの5分の1くらいらしいので、その意味で「酸味はない」ということなのだろうか。

「辛いお米が存在しないように、辛い日本酒も存在しません」と言いながら、「辛口です」と使う。もっともこれは、「『甘すぎない』というニュアンスで、辛口と表現することはあります」とも書いてあるのだが、そういう意味でいいのだろうか。

これらは講義なら質問すればすぐに解決しそうな話なのだが、本には質問できないのでまだるっこしい。

また、料飲専門家団体連合会(FBO)が出している教科書などでは、大吟醸酒や吟醸酒などの「薫酒」には、白身魚の刺身が合い、前菜系料理との組み合わせを考えるのが現実的としている。

ところが北原氏は、純米大吟醸は薫酒だが前菜系の料理には合わないと書いている。また、同じ薫酒の純米吟醸酒でも出羽桜は刺身に合わないといい、浦霞は刺身に合うという。

薫酒には香りの高い料理、爽酒にはさっぱりした料理か、逆に脂っぽい料理、醇酒にはしっかりした味の料理かバター、クリーム系、熟酒には濃厚な料理と、ざくり覚えていたが、それは大きな傾向であって、1本1本、酒の個性が違うように、組み合わせも違うのだろう。

最も、本当のことを言えば、家庭では料理によって酒を合わせるなんて無理だと思う。普通は淡泊な味ばかりとか、濃厚な味ばかりとかではなく、一回の食事にはいろんな味の料理を食べるだろう。その日食べる料理に合わせて、いろんなタイプの酒を用意することも出来なくはないが、日本酒は開栓したら早めに飲み切ってしまわないと風味が変わってしまう。たいていは、1本買って、1回の食事で、いろんなタイプの料理を食べながら飲み切ってしまうものである。例えば、刺身とイカの塩辛と鰻を食べる日は、どれに酒を合わせるべきか。爽酒にして、塩辛や鰻にはリセット効果を求めるのが正解なのだろうか。

 

 

 

天山サルー・スパークリング

夏もすでに終わってしまったが、佐賀県小城市の天山酒造から送ってもらった発泡日本酒がまだ残っていた。発泡日本酒、またはスパークリング日本酒は、いかにも夏の酒という感じがする。天山サルー・スパークリングを、夏の終わりを惜しんで飲んだ。肴は要らない。カレーを食べる前の食前酒である。

発泡日本酒には3種類ある。瓶の中で発酵が続いている瓶内2次発酵と活性にごり酒、そして炭酸ガスを注入する方式である。炭酸ガス注入方式を否定する人もいる。個人的には、酒が美味しければ必ずしも否定する必要はないと思う。サルー・スパークリングも炭酸ガスを注入する方式だが、爽やかで美味しい。

2018年7月製造で、精米歩合は75%。アルコール度数は10%と軽い。ギンギンに冷やして飲むのであまり香りはしないが、ほのかに乳酸が香る。口に含むと、シュワシュワと炭酸の爽やかな刺激が広がり、その後に米の甘さ、まろやかなヨーグルトの味、そして後味にはレモンやグレープフルーツのような苦み、さらには枯葉のような味(などと言いながら、枯葉を食べたことはない。あくまでもイメージである)が余韻として残る。

スパークリングワインのような軽やかさもありながら、日本酒としての味もちゃんとしている。美味しい発泡日本酒だと思う。口の中は夏。飲んでしまうと、夏も終わったような気になった。

発泡日本酒は、スパークリングワインのように、胃を活性化してくれる。その後に食べたデリーのカシミールカレーはとても美味しかった。デリーのカレーは大好きで、通販で大量に買って、毎週食べている。

 

 

「ゐまる」にて不動の吊るし、W、日高見など

柏の「ゐまる」は人に知られたくない店だ。いい酒が揃っていて、料理も美味しい。最後に赤酢の酢飯の鮨を食べて、それほど高くない。柏には「まる酒(しゅ)」という日本酒居酒屋もあり、こちらもいい日本酒を揃えている。柏の「まる」は素晴らしい。

久しぶりに2人で「ゐまる」に行った。カウンターとテーブルがあるが、カウンターだとメニューにはない美味しいお酒をご主人に教えてもらえるので、カウンターに座る。

まずはサッポロラガーの瓶ビール。お通しは鰺の梅肉紫蘇巻きだった。「新さんまの骨まで食べられるスーパー塩焼き肝ソース」は、身の部分は塩焼きで、さんまの顔や骨の部分はカリっと揚げてあって、本当に全部、食べられる。そのままでも香ばしくて実に旨いが、肝ソースをつけると濃厚な魚の旨味が味わえる。こんなさんまは食べたことがない。秋かますの炙り刺身梅肉添えは、かますの生臭さはまったくなく、刺身の新鮮さも残っている。炙りの香ばしさもあって、これも美味しい。なめ茸と焼き油揚げは混ぜて食べると濃い味で、酒肴としては最高だ。いぶりがっことクリームチーズの塩昆布和えは、クリームチーズと塩昆布、いぶりがっこという組み合わせが見事。最後に鮨。本日のいいとこどり7貫は、イクラご飯、雲丹、中トロ、〆鯖、平目、赤貝、トロたたきだったと思う。酔ってしまったので赤貝、トロたたきのあたりはあやふやだ。鮨はどれも醤油を付けずにいただく。小ぶりで、一口で食べられるのがいい。赤酢の酢飯がネタの味と相まって、実に美味しい。ひとつひとつの料理や鮨に工夫があり、感動があった。

酒は半合ずつ頼める。まずはメニューにあるものから。新潟市の越後亀鶴(越後鶴亀)はメロンのような香りと味。とてもきれいな酒。「エチゴビール」はここの商品らしい。千葉の不動つるししぼり純米大吟醸(鍋店)は乳酸の柔らかい酸味と旨味が広がる。余韻が長い。飛騨・古川のW生原酒純米(渡辺酒造店)は甘味と余韻が特徴的でエレガント。石巻の日高見助六江戸桜純米大吟醸(平孝酒造)は甘めだがあっさりとしている。助六江戸桜はカジュアルな日本酒を目指して作ったそうだが、なるほどと思った。「上きげん」で有名な加賀の鹿野酒造が造った益荒男山廃純米極熟成原酒にはウイスキーのようなコクがあった。熟成感はもちろん、苦みも深みもある。

そしてご主人のお勧めで燗酒を2種類。岐阜県・中島醸造の小左衛門山廃純米酒は焼いたパンのような香り。まろやかな乳酸の酸味と旨味があってとてもふくよか。百十郎も岐阜の酒だ。蔵元林本店である。かなり酸味あって、これも乳酸系だろうか。これからの季節は燗もいい。

菊姫山廃仕込純米酒

田崎真也氏はワインのソムリエとして有名だが、日本酒のテイスティングの基準にも大きく関わっているとお聞きした。その田崎氏が、120種類の日本酒をテイスティングして、どのような味と解釈したかを書いた本が、「No.1ソムリエが語る、新しい日本酒の味わい方」(SB新書)だ。日本酒の味や香りをどのように表現するのが正解なのか、よく分からずに悩んでいたので、読んでみた。

この本に出ているのと同じ日本酒を飲んでみて、田崎氏のテイスティングと比べてみる。とりあえず飲んでみたのが、日本酒で地理的表示、GI(geographical indications)を初めて取得した石川県白山市にある菊姫合資会社の「菊姫山廃仕込純米酒」だ。原料米は兵庫県三木市吉川町産の山田錦100%使用。精米歩合70%。アルコール分は16度以上17度未満とやや高めだ。あまり削りすぎず、特A地区の山田錦の味を前面に押し出した、濃醇な米の旨味が想像できる。山廃なので、乳酸も強いはずだ。

黄色がかった、いかにも濃醇そうな色。サワークリームのような、乳酸系の香りがする。味はヨーグルトのような旨味に、しっかりとした酸味、そしてじわーっと余韻が続く。全体的には辛口だが、米の旨味がとてもよく出ている。

これを田崎氏はどう書いているか。「酒母(酛)の違いを味わう」として、同じ菊姫の特選純米と山廃仕込純米酒の比較の中で、こう書いている。

「(一方の)山廃には、米や麹由来の香りよりは、乳酸発酵による乳製品的な香りがよりはっきりとしており、サワークリームやヨーグルト、クリームチーズや発酵バターのような香りに、杏仁豆腐や杉の木の香り、ほのかに白いスパイス香や菩提樹の花の香り、栗のようなナッツ香などが調和する」「味わいは(中略)山廃はよりしっかりとした酸味とコクを与える旨味が広がり、余韻が長く持続する」

自分の感覚ともそれほど外れてはいないが、杏仁豆腐や杉の木の香り、スパイス香や菩提樹の花の香り、ナッツ香などは分からなかった。そう言われて改めて嗅いでみると、なるほど、このちょっとウイスキーみたいな甘い香りを杏仁豆腐とか、ナッツ香というのかな、などと思う。菩提樹の花については、嗅いだ記憶がないので全く分からない。

さすがに有名なソムリエだけあって、表現も豊かだし、微妙な香りまで嗅ぎ分けていると感心するが、我々にはちょっと難しいかもしれない。この本には「ライラックやスイカズラの花の香り」「ブランマンジェの香り」「ほのかに青竹やジュニパーベリーのようなスパイス香」などとあるが、もはや香りを何かに例えて伝えるのに、その例えられているもの、そのものが分からない。田崎氏のソムリエとしての技能は伝わってくるが、酒の香りは伝わってこない。これではやはり、何が正解なのか、分からないのである。

もう少し単純明快な答えが欲しい。日本醸造協会や日本酒サービス研究会・酒匠研究会連合会、料飲専門家団体連合会、日本酒学講師の会などに、その答えを作ってほしい。

大七純米生酛冷やおろし

残暑が厳しいが、季節はもう秋である。柏の高島屋に、ひやおろしがたくさん並んでいた。その中から、福島県二本松市・大七酒造の「大七純米生酛冷やおろし」を選んだ。

製造年月日は2018年9月。精米歩合は69%だが、扁平精米である。扁平精米は齋藤富男氏らが提唱した精米法で、米を細長く削ることによって、削るべきところをきちんと削り、デンプン部分が無駄に削られるのを防ぐというもの。つまり、同じ69%でも、扁平精米だともっと低い精米歩合と同じ美味しさが期待できるのである。アルコール分は15%。ひやおろしなので生詰。火入れは1回なのである程度の新鮮さもあるはずだ。

唎酒をやってみる。まず色を見る。透明にしか思えないが、やや青みがかっている気もする。これは「青冴え」というものなのか。粘性もある。香りは、仄かにヨーグルトのような感じと、かすかに枯葉のような感じ。甘味は抑え気味。まろやかな口当たりで、ジューシー。力強い酸味。この酸味は、生酛の力強さなのか、生詰のフレッシュ感なのか。後味に土のような苦み。この苦みは悪い意味ではない。米の旨味も含んだ苦みだ。かなり余韻が残る。

さて、これで正解なのかは分からない。インターネットで同じ酒の去年や一昨年の紹介文を読んでみる。「洗練された香りと、複雑な旨味が絡み合う奥深い旨味があり、寒さが深まるとともにぐっと旨味を増していきます」などと、「旨味」という言葉が無駄に何度も使われている。日本語としては疑問が残る書き方だ。複雑な旨味というのは分かる。「しっとりと深みのある余韻」というのも、「しっとり」というより「ジワーっ」という感じだが、まあ理解できる。しかし、分からなかったのが、去年や一昨年のこの酒に「キレがいい」という表現を使っている人が、意外にいることである。

「キレ」とは一体、何なのだろうか。普通に考えると、スパッと切れるの「キレ」なので、余韻が少ない、後味が残らないという意味だとしか思えない。スーッと後味がなくなっているような感じである。ところが、大七の純米生酛は、余韻が残る。スパッと切れるどころか、ジワーっと残っているのだが、これがなぜ、「キレがいい」と表現されるのか、分からない。今年の酒だけ違うのだろうか。それとも、「キレがいい」という言葉が、間違って使われているのだろうか。「キレ」とは何か。分からないのに、今まで使っていた気がする。

唎酒の難しさは、酒の味が分かるかどうか、ではない。今、自分が感じている味や香りが、一般的に(というより、日本酒業界で)どのように表現されているのか(どう表現するのが正解とされているのか)が、よく分からないところだ。しかも、醸造年によって味も香りも変わってくるので、これまでの他人の唎酒が判断基準にならない。

一緒に食べたのは、ハーブ鶏ローストチキンパスタサラダ、銀鱈西京焼き、もずく。〆に「おこわ米八」の赤飯、栗、五目の三色おこわ。別に酒に合わせたわけではない。酸味が強いので、味がしっかりとした西京焼きにはよく合った。

 

唎酒師認定試験の例題の間違い

唎酒師のホームページから、認定試験の例題が無料でダウンロードできるようになっている。https://kikisake-shi.jp/exam/example/

これでどのような試験なのか、だいたいが分かる。第1次から4次まであって、1次と2次は選択式が中心。3次はテイスティングをして答える問題、4次はプロモーションが中心。とりあえず、1次と2次をやってみて、躓いてしまった。

問題が難しかったわけではない。解答が間違っているとしか思えない部分があったのだ。

第1次例題の【例題2】(「酒類の分類」に関する問題)は、問題が(1)から(3)の3問しかないのに、解答には(4)がある。

第2次例題の【例題4】(「原料(微生物)」に関する問題)は、(1)が、麹菌について正しい文章を選びなさい、とあり、解答はB:糖分をアルコールに変える働きをする、になっている。しかし、どう考えても正解はA:米のデンプンを糖化させる働きをする、だろう。

問題の番号と解答の番号がずれているのか、と疑ったが、他はすべて解答が正解なので、やはり単に間違っているだけだ。

唎酒師は公的資格ではないが、公式ホームページからダウンロードした例題が間違っていると、資格の価値そのものも下がってしまうような気がして悔しい。問い合わせのフォームがあったので、解答が間違っているので訂正した方がよいのでは、とメールした。翌日にすぐ、大変丁寧な返事をいただいた。間違っていたので訂正しますということだった。ホッとした。例題を見てみると、すでに直っていた。

例題が間違っていたことで、何となく唎酒師を受験する気がなくなってしまっていたが、きちんと対応していただいたので、やはり受験してみようと思い直した。

 

原宿「sora an」

原宿の竹下通りは大人の行く所ではないというイメージがある。通りがいつも人で埋まっている。満員電車のようで居心地が悪い。だが、横道を入ってすぐの通りは、ウソのように落ち着いている。「ブラームスの小径」という名前は趣味がよくないが、蕎麦の「sora an」や中華の「はしづめ」のようないい店が並んでいる。

水曜日の午後6時すぎ、2人で「原宿 sora an(素楽庵)」へ入った。本来、水曜は定休日だが、この日は予約が2件入ったので開けたという。運が良かった。

蕎麦と豚しゃぶがメインだが、お店はカフェ風。最近はこういう店が多い。最初にハートランドビールの中瓶を飲んで、日本酒。福島・会津喜多方の大和川酒造の弥右衛門純米辛口、山形県酒田市・麓井酒造の麓井、青森県弘前市・三浦酒造のモヒカン娘純米、山形県酒田市・酒田酒造の上喜元「こぶし」超辛口特別純米を1合ずつ飲んだ。

弥右衛門は夢の香という酒米を使い、精米歩合は60%。やわらかい甘みと酸味を感じるが、キレもある。後味にほのかな苦み。麓井は瓶を見なかったが、純米本辛だと思う。吟醸香は感じなかったし、やさしい味で、あっさりとしてコクはないが余韻はあった。モヒカン娘は昔、良く飲んだ。優しく穏やかな酒で、酸味はあるけれどまろやかで、後味も爽やか。「こぶし」は日本酒度+10でスパッとしたキレがある。

お通しはエリンギ、オクラ、レンコン。ぶりトロの刺し身、手造り寄せ豆腐、三元豚のメンチカツ、三元豚の無添加ソーセージ、干し山芋のサクサク焼きを食べて、〆は蕎麦。私は豚せいろを、もう1人は胡麻だれせいろを出してもらった。

居心地のよい場所で飲むと、酒もより美味しく感じる。もう少し暑さが和らいだら、ブラームスの小径に面したテラス席で飲みたい。テラス席が心地よい季節は、一年のうちでほんの数週間しかない。その貴重な時間を味わいたい。

 

 

 

 

 

越後雪鶴純米酒

越乃寒梅や上善如水が余りに有名だからだろうか、新潟の酒は、淡麗辛口というイメージが強い。バブルの頃の「淡麗辛口」ブームでも、主役は新潟の吟醸酒だった。

だが、「淡麗辛口」はよそ行きの酒というイメージがある。何にでも合うようでいて、意外に食事にも合わせにくいような気がする。

地元の人が普段飲む地酒は、食事に合うものでなければならない。その意味で、この新潟県糸魚川市の田原酒造の「雪鶴純米酒」は、地酒と呼ぶに相応しいと思う。新潟県発祥の酒米、五百万石を麹米に使い、掛米は一般米。精米歩合65%、日本酒度+4、酸度1・2、アルコール分15度。突出したところのない「普段使い」の酒であるが、純米酒として、実にきちんと造られている。

香りはそれほど感じないが、まろやかで、バランスのいい旨味と酸味。そして後味にやや苦みが残る。カドがない、丸い、きれいな味だが、しっかりとした味でもある。

広島産カキのフライ、海老とブロッコリーのサラダ、沖縄県産もずく、うなぎにぎりと合わせた。お互いに光輝くような、ぴったりのマリアージュというわけではないが、だいたいの料理にそれなりに合う。性格のいい酒だと思う。家で飲むのに料理に合わせていろんな酒を揃えるわけにはいかないので、この性格の良さは大切だろう。

問題は読み方が分からないことだ。「ゆきつる」と言う人もいれば、「ゆきづる」と言う人もいる。どちらが本当なのだろうか。